2012年2月4日土曜日

乙女の祈りとロバのパン屋さん

バダジェフスカ/乙女の祈り/演奏:山季 布枝

  モーツアルトのトルコ行進曲を練習するに当り、K先生から「トルコ行進曲も乙女の祈りも、思っているほど難しくないわよ」と言われた。”トルコ行進曲”、”乙女の祈り”、そしてベートーベンの”エリーゼのために”。ピアノを習う小中学生が弾きたくなる、人気の名曲だ。

  だが私には、あとの二つの曲にコンプレックスがあって、弾きたいどころか、聞くと悲しくなってしまう。 私が幼少期を過ごした、昭和30年代。日本国中が、まだ貧しかった。日本からアメリカに輸出した缶詰に「石ころが詰まっていた」など、恥ずかしい話しを学校の先生から聞いた。 その頃、村に「ロバのパン屋さん」が毎日やって来た。ロバに引かれた荷台のガラスケースに、コッペパンや、巻貝のようなクリームパンが並んでいる。そして、遠くからわかるように、大きな音でオルゴールを鳴らしていた。村中の子供達が、聞きつけてぞろぞろと、ロバのパン屋さんの後をついて歩いた。悲しいかな、だれも10円のパンを買える子供はいない。
そのオルゴール曲が、”エリーゼのために”と”乙女の祈り”だった。