2012年3月5日月曜日

ダンドリーノながら仙人

粒あん真空パック
家内が、好物の粒あんを作ってくれた
テキパキと真空パック包装した
  山奥での一人暮らしが、もう5年になる。元気になりすぎて、内科ではなく外科的要因で3回も入院する羽目になった。ベッドの上で、着替えや体を洗ってもらうとき「男性の看護師を呼びましょうか?」とよく聞かれた。「とんでもない、このまま綺麗な看護師さんでお願いします」・・・男性が看護職場に入ってきて、あこがれの”看護婦さん”と呼ばなくなった。もともと英語のnurseにも男女の区別がないらしい。
  私が感心したのは、患者の着換えをする、手順とすばやさだ。手術後、寝たきりの患者は、腰や上半身を持ち上げるのが苦痛だ。それを軽減するため、下着やパジャマを患者が寝たままの状態で、できるところまで準備する。そして腰や肩を一回持ち上げるだけで、一気にすべての着せ替えを行う。特に点滴を注したまま下着をかえる技など、手品のようで、今、考えてもわからない。

  私は両足に障害があるので、片足立ちができない。朝、着替える時、椅子に座って着替えるのだが、この入院中の経験が、おおいに役立っている。とくにパッチ、くつした、パンツ(ずぼん)をはくときだ。途中まで、座ったままで全部に両脚をつっこみ、靴下と上履きをはく。そして立ち上がって、一気に衣装をととのえる。以前は、衣類ごとに立ち上がっていたので、今は、ずい分と速く着替えができるようになった。同時にそれは、体の負担も少ない。

  この本動作をおこなう前の、準備を工場時代は”段取(だんどり)”とよんでいた。段取には”内段取”と”外段取”がある。たとえば、料理をするとき、材料の準備だけをすることが”内段取”、何か煮物を火にかけながら、ほかの料理の準備をすることが”外段取”だ。家事の順番を事前に考えて、外段取を多くするほど手早くできる。

  私が滋賀に帰った時よく立ち寄る、レストラン”富たん”には、カウンター席がある。シェフが調理している姿を見るのが好きで、よくそこに座る。せまい調理場で5つ以上の仕事を、実に気持ちよくこなしていく。外段取の手本をみているようだ。
  その姿を思い出しながら、仙人は今日も台所に立つ。"だけ段取"を"ながら段取"に、そして、いつものように「テキパキ」と音がしてくる。