2012年6月1日金曜日

朴のはなびら酒

犬塚勉「梅雨の晴れ間」  東御市の梅野記念絵画館で、犬塚勉展が4/13~6/3まで開催されている。もうじき最終日。佐久のNJ女史、小諸のTK女史と誘い合わせて行ってきた。

今回の展示会は、初期の作品から絶筆まで100点以上を見ることができ、一人の画家の、画風の変遷と苦悶とその多才さをうかがうことができた。何度見てもすごい。遠く離れても、10cmまで近寄ってみてもすごい。右の画「梅雨の晴れ間」というタイトルだが、草の匂い、草原の湿気が伝わってくる。いま存命なら63歳。どんな絵を描いていたことだろう。

朴の花  飯田へ帰る途中、小諸から茅野へ抜ける白樺湖の近くの山中で、白く輝く大きな花が咲いていた。朴の花だった。
  よくこのブログで登場するNK-Japan氏、20年近く前、四国に住む詩人(故)坂村真民さんの集いに参加した。その時、真民さんから一人々々に、朴の花びら酒を振舞われた。花びら一枚が船の形をしていて、それに酒を注いで飲むと、甘く素晴らしい香りのお酒を楽しむことができる。全く飲めない私も試してみたが、一時この魔力にとりつかれたことがある。
  NK-Japan氏はこれが忘れられず、すぐ自宅の庭に朴の木を植えた。ところが、いっこうに花が咲かない。この雨仰庵の近くにも朴の木がたくさん自生していて、隣の吉爺は毎年”朴の葉鮨”を作ってくれる。だが、20年間一度も朴の花を見たことがないという。よくわからないが、花の咲く木と咲かない木があるのだろうか?

  滋賀県の家にほど近い日野へ行く途中の、道端から2mのところに一本、花の咲く朴の木がある。毎年5月末に咲くので、以前NK-Japan氏の夢をかなえようと、家内と花を採りに行った。草むらから2m弱の高さにも花が咲いていた。ちょっと手を伸ばせば届く高さだ。
  花を採ろうとして一歩踏みだした家内が、突然視界から消えた。なんと地表の草むらと思っていたところは、深さ2mの溝に、背の高い草が頭をそろえて出しているところだった。しばらくして、藪からクマが出てくるように、家内が這い上がってきた。