メール(mail)を訳せば「手紙」だが、今や電子メールのことになってしまった。 以前にも書いたが、私は脱「デジタル依存」のため、通販以外の手紙は、できるだけハガキを使う。それもできるだけ手製の絵葉書、写真ハガキに、下手な自筆で出す。
「ハガキ」の由来は、=葉書→「タラヨウ(多羅葉樹の葉)」を傷をつけると黒くなって文字が書ける。昔それを手紙にしたことからと言われていて、多羅葉樹は郵便局の木とよばれている。
雨仰庵には「エゴノキ」が何本か生えている。毎年6月になると、このエゴノキに粋な訪問者がやってくる。エゴツルクビオトシブミだ。1cmぐらいの小さな甲虫で、工事用のパワーショベルを模型にしたような姿形をしている。
このオトシブミ(のお母さん)は実際にパワーショベルのような、驚異的な馬力を発する。エゴの葉の筋を切りながら、脚と口を使ってクルクルと見事に葉を巻く。それもご丁寧に縦に二つ折りにしてから巻く。その中心に一つ卵を産みつけて、最後に木から切り落とす。
オトシブミの手紙は、エゴの葉の「ハガキ」ではなく古風な「巻物」の手紙だ。電子メール時代には、こんなに粋な名前は考えられなかったことだろうが、これは赤ちゃんのゆりかご(揺籃) 兼 離乳食なのだ。