いつもは、垣根かその下でエサをついばんでいるので、なかなか写真を撮ることができなかったメジロが、ベランダまできて初めて写真を撮らせてくれた。真正面から見たら写楽の役者絵みたいでおもろい顔だ。
この木金土に降った雪は、雨仰庵観測史上どころか気象庁の観測史上も飯田市最高の積雪だったことをニュースで知った。昨日の夕方やっと除雪車が来て山を降りることができるようにになり、今日、買物とストーブ燃料を買うため久しぶりに山を下りた。市内の道も半分しか除雪されておらず、雪をどけてもすてるところもなし。スーパーの豆腐、パン、牛乳の棚には何もなかった。
困っているのは人間だけではない。昨日から野鳥がエサを求めてわんわんやってくる。雨仰庵郡奉行(こおりぶぎょう)としてはお蔵米を放出せざるをえまいと思い、 いつものひまわりの種の他、取って置きの「野鳥の餌」とリンゴをベランダにおいた。「野鳥の餌」というやつは、粟とか稗など細かい穀物の混合したもので、昨日来た「クロジ」は、ひまわりの種を食べることができないので緊急支援したものだ。このメジロは甘いリンゴを目指してきた。
メジロは、今は鳥獣保護法により捕獲禁止及び飼育も禁止となっているが(メジロにかぎらず野鳥は全て)、子供の頃は縁側の軒に竹の鳥籠を吊って飼っていた。映画「たそがれ清兵衛」で、清兵衛が内職で作っていたやつだ。いつも兄がすり餌をやって世話をしていた。とても良い高い声で啼く。よく鶯色というが、メジロのほうが鶯色をしている。ウグイスは灰褐色系でもっときたない。そういえば茶色という色の名前もよくわからない、茶=緑のイメージ、英語でもgreen teaと言うではないか。紅茶を見た人が色の名前をつけたのだろうか?また夜眠れなくなりそうだ。
メジロの他に、カケス、コゲラ(ちいさい縞々のキツツキ)、常連のヤマガラ・シジュウカラ、閑なロクジュウカラも顔を出したが、ゴジュウカラは仕事が忙しいからと来なかった。
シジュウカラ、ヤマガラはひまわりの種を食べるが、カワラヒワはその強敵だ。よく見ると綺麗な鳥で、アトリ科のシメやイカルと同じ仲間だ。鳴き声はジュルジュル、図々しく居座ってひまわりの種を独占する。ヤマガラやシジュウカラは怖いので一緒には食事をしないが、それでも近くで待っている。
ヒヨドリはメジロと入れ替わり立ち替わりリンゴを狙ってやってきた。ふだん小鳥しか来ないので、近くに来ると大きな鳥に思える。リンゴのみならず、クロジに用意した高級な「野鳥の餌」もついばんでいる。しかし、欲張りすぎたのが祟って、リンゴが喙(くちばし)にささり、抜けなく口も開かずで相当焦っていた。やっとリンゴが抜けてわお〜んと吠えているところ。
ご招待のクロジ様は、やはり御馳走の「野鳥の餌」にやってきた。この鳥は、ホウジロの系統なので良い声で啼くのではないか?と調べるために「野鳥の鳴き声図鑑」という3500円もするアプリを買ってしまった。「野鳥の餌」といい、「野鳥の鳴き声図鑑」といい、クロジさんのおかげでえらい散財をしてしまった。
しかし金をかけただけのことはある。やはり聞いたことのある良い声で啼くのであった。