先月の手描室で「ナンキンハゼ」を描いたとき、絵が寂しいといったら、S先生から「サインの下に朱の落款を押せば良い」とアドバイスをいただいた。
辞書によると、落款(らっかん)とは
”{完成したしるしに}書画に筆者が、署名・捺印すること。”
「男は道具でい」を地でゆく私は、実は前から落款用の石や篆刻刀(てんこくとう)、バイス(石を挟む万力)も準備してあった。左の写真は篆刻刀。 落款を彫る道具は「篆刻というジャンル」で市販されている。それで落款を彫ることを篆刻と思っていた。恥ずかしながら、「篆」の意味を知らなかったのだ。
またまた辞書をひくと
”篆刻とは{篆書を使ってする}印刻。篆書は、印刻や碑文の題字などに使う、漢字の一書体。主に秦代の小篆を指す。篆文。篆。小篆は楷書、隷書のもと”
印台となる石に図案を転写する方法を、ネットで紹介していたのでやってみた。
1.濃い黒で下書き(版下)を作り、トナー式のコピーをとる。インクジェットの印刷ではダメ。このために何度となく3km離れたコンビニに、コピーをしに通うことになった。
2.印台の石をバイスにはさんで、ペーパーヤスリで彫る面を平らに仕上げる。
3.紙をきちっと印台となる石に押し当て、黄色のマジック(昔懐かしい?マークのやつ)で裏からこする。YouTubeでやり方を見ると見事に転写されていたが、残念ながらうまくいかなかった。
4.そこでトナーは熱で溶けることを思い出し、アイロンを高温にして押し当てて薄くだがなんとか転写できた。これは以前版画の版下を木に転写する時、思いついたものだ。しかし版木は平らではないので、均一に転写できずに諦めた方法だった。
5.転写さえできれば、こっちのもの、あとは彫るだけ。
図案は雪の上の動物の足跡をみてひらめき、肉球の中にサインのKを入れ、明日手描室なので慌てて彫った。篆書体も何も使っていないので篆刻ではなく、ただ落款を彫っただけであった。篆書体の辞書は、高くて年金生活者には手が出ないのだ。