今回の雪は全国的に何十年ぶりという報道があったが、ここでも膝上まで積って、雪かきができない私は車もだせず往生こいた。ヒッキー仙人としては雪解けを待てばよいのだが、家内が夜中の3時半ごろ滋賀県から心配してやってきて、恥かき汗かき雪かきをしてくれた。ありがたや。富山県のほらふきに聞くと「そんなもん雪じゃァない、霜だ!」という。
伊那谷は氷の国、もともと積雪は多くない。ただひたすら寒く、雨仰庵周辺は連日真冬日が続く。まるで天然冷凍庫だ。いまは珍しくなってしまったが、天日干し寒天をつくる土地柄だ。
凍る(氷る:こおる)ことを、凍みる(しみる)というが、骨折入院した時の病室同窓会・泰阜村(やすおかむら)在住のHGさんが「凍み大根」を作ったからと沢山送ってくれた。泰阜村といえば、前の長野県知事・田中康夫氏が長野市から転入をして物議を醸した村だ。県議会とはずいぶんと軋轢があったようだが、泰阜村ではずいぶんと評判が良かったらしい。
この凍み大根作り、皮を剥いて一度湯がいて藁で閉じて何日も凍らせたりお日様に当てたり、ずいぶんと手間のかかるものだ。昔の人はエライと思う。こうやって大根が採れない時のための保存食をつくり、しかも美味くなっている。いつもは小正月明けに作るらしいが、「今年は年明けすぐ猛烈に寒くなったので早く作り出した」と手紙と一緒に、記事が載った南信州新聞も入っていた。
HGさんに聞いたとおり3〜4時間水でもどし、他の根菜と炊き合わせにした。ニンジン、牛蒡は乱切り。出汁としてしいたけと鶏もも肉、そして、この前の残りの赤こんにゃくを入れた。さらに、TSUISAから送ってもらった”牛タンのつくね”も入れたら、なんだか、だんだん凍み大根のおでんみたいになった。
最初茶色だった凍み大根、水で戻すとほとんどもとの白い大根色になる。不思議だ。
切干し大根では戻し汁を出汁に使うので、これも戻し汁を使ってみた。
いつも煮物は、味醂・醤油・出汁(こんかい戻し汁)=1:1:10で煮るので、その配合で煮汁を作ったが、戻し汁を使ったせいか、味が薄かったので醤油を足して2にしたら美味しくなった。やはりこの土地の風土にあった濃い目が合うのかなとも思う。
一晩おいたらさらに味がしみて(凍み大根に味が滲みるなんちゃって)美味しくなった。この手の煮物大好き人間の家内もずいぶんと気に入ったようだ。