あと半月もすると、この伊那谷は花の谷に豹変する。厳しい冬を耐えたほうびにと、うめ、もも、なし、りんご、桜、杏など、一気に花盛りになる。
しかし、雨仰庵のまわりの林は、すべて枯れ木。玄関脇の水たまりは、一日中氷が溶けず、時々雪もチラチラ。ストーブもフル回転。いまだに冬の中にいる。ほんとうに、あの枯れ木いっぱいに花が咲くのだろうかと思う。
昨日、突然、玄関脇であでやかな黄色が目に入った。福寿草が咲いている。春の窓が開いたようだ。
本当は、フキノトウが最初に咲く花なのに、福寿草の巧みな戦略で、この花が春一番の花になった。芽が出たばかりの頃、フキノトウと間違えて、食中毒を起こすことがある。フキノトウは美味しいので、芽が出るそばから手折られてしまう。食べられない福寿草は、鑑賞用に珍重され、おめでたい名前まで貰った。
私も口に相当な毒があるが、残念なことに花は咲かない。